【ジンバブエ】 銀河鉄道の夜

ジンバブエの夜行列車に乗車した話です。

2013年6月 1USD=約100円

「アフリカ大陸を鉄道で移動する」。何ともロマン溢れる言葉だ。

アフリカ縦断の旅で、二度鉄道を使う機会があった。一度目がタンザン鉄道、二度目がジンバブエ鉄道だ。

以前、ハイパーインフレを起こして話題になったジンバブエ。意外にも鉄道機関が発展しており、国内各所に鉄道で向かうことができる。

これはアフリカの中で発展しているという意味で、アジアやヨーロッパと比べてはいけない。

ヴィクトリアフォールズからブラワヨまで乗ったジンバブエ鉄道、その時の様子を書き記す。

◆チケット購入

ジンバブエ鉄道に乗るためには、当たり前だがチケットを買わないといけない。

乗車前日に窓口に行ったら「明日また来て」と答えが返ってきたので、再び向かった。

ヴィクトリアフォールズの駅は町の中心にあるので、アクセスはとても良い。

バスターミナルが少し町から離れていることを考えると、ヴィクトリアフォールズからジンバブエ国内、南アフリカに入る手段として、鉄道は一番良い方法なのかもしれない。

僕が目指すケープタウンまでは2,651km。まだまだ遠い。今回鉄道で目指すのは、一番下のブラワヨ。ジンバブエ第二の都市だ。

451kmなので、さほど遠くはない。夜行列車なら19時に出て、朝方9時前には着く予定なので、14時間ほどだ。

駅構内の小さな窓口で、ブラワヨまでの1等車12USD(約1,200円)を購入。

エコノミー8USDは座席、2等車は4人寝台、1等は2人寝台なので横になることができる。1等がかなり安いので、迷わずこちらを選択だ。

当日でも余裕で買えるので、焦る必要はないかもしれない。ジンバブエの帰省ラッシュ時とかは知らないけど。

◆ヴィクトリアフォールズ⇒ブラワヨ

19時の発車に合わせるために、18時半に宿を出発。

夜に荷物持って歩くのが不安&メンドイこともあり、5USDでタクシーを使った。

宿でもタクシーを呼んでもらうことが可能なんだけど、10USDだったので昼間町に行った時に、タクシーの運転手に交渉して予約を入れておいた。

すでに鉄道がホームに入っているので、車掌に教えてもらいながら部屋へ入る。

部屋は狭くないので、快適。

出発まで時間かかりそうだから、他の場所を探索することに。

見ている限り、お客さんは少なさそう。「この鉄道やっていけるのか?」と不安になるぐらい。

観光客はいない様子であった、シーズンでもないヴィクトリアフォールズに来る人は珍しい。欧米の休みのシーズンでもないので、この時期のアフリカは空いていて楽ではあったけど。

車内はレトロ。悪く言えばボロ電車なんだけど、電球のオレンジ加減が雰囲気を表していた。

部屋に戻り出発まで待つ、何故か1等の電気は白くて旅情をぶち壊しにするので、真っ暗にして静かにしていた。

19時を過ぎても出発する気配はない。案の定なので仕方ないと思っていたら、新たなお客さんが僕の部屋に入ってきた。

暗闇の中、2,3やりとりを交わし、お互い自分の時間に浸る。物静かな日本人と物静かなジンバブエ人、ここから14時間彼と一緒の空間を過ごすのだ。

すると彼が席を立ちあがり、窓の外を眺めた。

「何かな?」と思っていると”Look”の一言。指先の方向を見ると、暗闇の中に大きな物体が動いているのが見えた。

ジンバブエ人は静かに”Elephant”と言った。ヴィクトリアフォールズには野生の象がいると聞いたことがある、まさか見るとは思わなかったけど、象が歩いていた。

地元民は驚くことはしない、いつもの光景なのだ。僕もさほど違和感は覚えなかったので「なるほど」と思い、再び腰を掛ける。

20時半頃、何も合図はなく大きな鉄の塊が動き始める。ゆっくり、ゆっくりと。

◆銀河鉄道の夜

中々寝付けない僕は、窓から外を眺めていた。

暗闇の中に地平線が見えていて、上には満点の星空。思わず息を飲んでしまった。

小一時間ほど僕はその景色を見つめていた。

まるで「銀河鉄道の夜」だ。大小さまざまな星が広がる中、アフリカの地をジンバブエ鉄道は「ガタンゴトン」と音を出しながら、走り続ける。

期待しなかった景色、今なおその光景は僕の目から離れることはない。「旅しているな」と感じた瞬間だった。

前にいるジンバブエの方は既に就寝している。アフリカ大陸も残り一週間ばかり。ブラワヨに着いたら、プレトリアまで行く夜行バスに乗る、プレトリアまで行けば後はケープタウン行きのバスに乗るだけ。

全て夜行バスなので、宿に泊まることはない。ケープタウンまで残り少し、気持ちが高まると同時に、何故か寂しい気持ちにもなった。

目を覚ますと外は明るい。いつの間にか寝ていたようだ。目の前の男性はまだ夢の中。

ブラワヨに着くのはまだまだ先、もう一眠りしようかと思ったけど、僕の視線の先に広がるアフリカの景色がどこか魅力的だったので、何も考えずに眺めていた。

部屋に入ってくる風が心地よい、完全に日が昇りきった頃、ホームもない駅で高校生ぽい集団が乗ってきた。

最寄り場所まで鉄道を使うのだろう、車掌が歩いてる様子もなかったので、もしかしたら無賃乗車なのかもしれない。しかし、それが日常ならば仕方がないことだ。

寝ている途中にガシャンガシャンと言っていたのはこういうことだったのか。

先頭部分に貨物車両がくっ付いている。長い長いジンバブエ鉄道、到着予定の9時を過ぎてもブラワヨに着く気配はない、いつになったら着くのだろうか。

こちらとしては待つしかないので、下手に動くようなことはせず、部屋で待ち続ける。

昨晩から一緒の男性は電話で何か話した後「30分ぐらいでブラワヨに着くよ」と教えてくれた。

20分後、外の景色に活気が表れてきた。

ブラワヨの特徴的な火力発電所が見えてきた。もうすぐでジンバブエの鉄道移動も終わる、結局2時間ぐらい遅れて11時に到着した。

ブラワヨ駅に到着。一夜を共にしたジンバブエの男性と握手を交わし、お別れする。特に喋りもしなかったし、コミュニケーションも取らなかったけど、最後に自然に手を交わしてサヨナラするのは気分が良い。

宿の勧誘が一人いたけど、お断りし、僕はバスステーションへと向かった。

◆ジンバブエ鉄道

ヴィクトリアフォールズ⇒ブラワヨ

所要時間:14時間(19:00~09:00)

料金:1等寝台12USD、2等寝台10USD、エコノミー8USD

注意点:

・確実に遅れるので、気持ちにゆとりを持って

・飲み物か食べ物はあると便利。物売りはいない

・寝る時は窓を閉め、部屋のカギを閉めよう

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