2019年12月 1SAR=約30円
ジェッダの旧市街。昼間はひっそりと静まり返っているのに、夜になると賑わいを増す。
なのでジェッダは太陽が出ている時より、日没後に動く方が多くなった。
常に30度近い気温の昼間より、25度ぐらいとなり涼しい風が通る夜の方が行動的になるのは無理もない。
これは湾岸アラブ諸国に共通するものがある。
この旧市街の夜、僕が魅了された市場もあったのでそれ含めて紹介したい。
スークを散策する
旧市街の夜、商店が連なるのは「Souq Qabil / Souk Qabil」と「souk Al Alawi」だ。
1本の通りで繋がっているので、そこを歩いていけば問題はない。
それ以外は住宅なのか廃墟なのかよく分からないが、そこと比べると店は少ないので、熱心に見ることはないと思う。
スタートは「Mohammad Naghi」モスクから。この周辺も商店があるけど、どちらかと言うと露店が目立つ。
地図:Mohammad Naghi Mosque
ジェッダの路線バスの始発にもなっている。特に案内はないけど各番号が10-20分に1本ペースでやってくる。
南アジア系の人たちが露店を広げており、パキスタンやバングラデシュの街の一角に立っているようだ。
治安は良いのでスリの心配はご無用。勿論無警戒で歩くのはご法度だが、少し肩の力を抜いても問題ないだろう。
ここから少し北に歩くと門(名称不詳)が見えてくる。ここからが商人の町であることが分かるようなスークとなる。
ジェッダは1940年頃まではこの旧市街のみのエリアであった。それが開発などで北へ北へと広がっていったので、周辺の歴史はそこまで深くはない。
このブント門の前には税関が昔あった。そのためスークが1本の道で広がっていったと想定される。
役人などの官庁や各国の領事館は旧市街の北側に位置している。今は首都のリヤドにあるが以前はジェッダが外交の役割を担っていた。なので今でも外務省はジェッダに構えている。
それではスークを歩いていこう。
中東のスーク、と聞くとイスタンブールのグランバザールやフェズの迷路のようなスークをイメージするかもしれない。
勿論旧市街の中は迷路のようになっているが、スークの部分は幅の広い通りになっているのでとても歩きやすい。これは商品を運ぶために馬車などを使っていたことから、意図的に通りが広く作られているかと想定する。なので道もクネクネしていなく、ほぼ直線上なのが特徴的だ。
税関近くは両替所や貴金属が売られている。まさに「ゴールドスーク」。
僕は門目の前の両替所(Alamoudi Exchange)でバーレーンディナールをサウジリアルに両替した。
レート価値は同じなので、ほぼ同レートで両替。パスポートは必要。お金も細かくしてくれてとても配慮があって素敵だった。
地図:Alamoudi Exchange
サウジアラビアで気を付けないといけないのが、お祈り休憩があるということ。
1日5回のお祈りの時刻には店を閉めてしまうので、その時間は店に入ることができない。
この12月初旬は17時42分と19時12分がお祈りの時間帯であった。だいたい30分ぐらい店を閉めてしまう。
そうなると17時40分に閉めて、18時10分に空いてもまた1時間後には閉めてしまう。
大きなスーパーやレストランは店に入れば中に留まれるけど、個人商店は閉めてしまう。
なので僕は最初の18時10分後にご飯屋さんに入り夕食、ちょうど食べ終わる頃にお祈りがスタートするので退出。ホテルが近くにあったので、19時40分ぐらいまで休憩して、その後散策という形にしていた。
カフェとかは空いているので、カフェで待機しているのも良いだろう。
以下が僕のオススメのカフェ。ここならお祈り中でも空いているので、心配ご無用。
話をスークに戻す。
「ゴールドスーク」を抜けると車の走る通りに出る。横断歩道を渡るとゴールドスークから庶民的なスークへと変わっていく。
その前にこのスーク前にあるジューススタンドに立ち寄りたい。
ここで飲むマンゴージュースがとても美味しかったのだ。SAR 6(約180円)。
濃厚で甘くて飲みやすかった。サイズとしてもちょうど良い。体をクールダウンするには最適だ。
ジェッダを歩く人たちを見ながら飲むジュースはどこか格別な存在。
地図:ジューススタンド
このスークの店は真新しいものは特にはなかった。
他の国でも見られるような店、これは中東諸国に共通するものかもしれない。
スパイス、衣服、個人スーパーなどなど。でもその雰囲気を見るだけでも楽しい。
湾岸諸国だと「造られた」スークがたまにあるけど、サウジアラビアは昔から栄えたスークということもあり、人間味のある雰囲気だ。
現地のサウジアラビア人がいっぱい歩いていることがその証明だろう。
個人的に「へー」と感じたのは、このスークには個人の露店も当然広げられている。
それはよくある光景なので驚きもしないんだけど、アバヤを着た女性が出す店もあるということ。
徐々に女性も社会への進出が進んでいると聞くけど、こういう個人の露店はさすがにないと思ってた。というかやらないと思ってた。
それは僕の誤った考え方かもしれないんだけど、ダンマンやリヤドでもこの姿を見た時に「いいのか、あるのか!」と自分の中で興奮?していた。当然男性客とも会話をしている。
男は出稼ぎ労働者ぽい人が多いけど、女性は目まで隠しているので肌や顔での判断は不可能だ。
恐らく現地のサウジアラビア人なのだろうけど。
ちなみにSIMを売ってるのも女性の店員さん。指紋認証が必要、ただこういう露店では外国人は基本購入できる。
イカマ(許可証)がないと売ってくれないケースが殆ど。
ちなみに面白かったのがこちら。これはアラブのトイレに入った方は誰でも見るであろう「セルフウォシュレット」の存在。
便器の横にシャワーホースがあって、これでお尻を洗えるというもの。それのホースが売られている。「誰が買うんだよ!」と思うけど、置いてあるというのは需要があるのだろう。
売っているのは南インド系の男性、インドやスリランカも海洋交易が盛んであったので、「商人」としての血があるのだろうか。
食料バザールに感動する
僕がこのスークで一番好きだったのがこの食料バザールだ。
場所はこの辺り。メッカ門近くになる。
地図:この周辺
西から歩くとゴールド→衣料品→食料と変化していくのも面白い。
このバザール、というかスークがとても賑やかで活気があった。
今でも写真を見たり、記事を書いているだけで興奮するし、その光景が頭に浮かぶ。
中東やアフリカのゴミゴミしたマーケットを見たことがある人なら「うおーーー!!!」となるはず。僕はなった。どこに目の焦点を置いていいのか分からないほど、とにかくゴミゴミしている。
これがサウジアラビア・ジェッダのマーケットなのか、昔からの姿をそのまま残しているのであろう。
サウジアラビア人以外にもイエメンやアフリカ系の人も多い。これは商人でも同じだ。
他の都市からジェッダの街に訪れるとアフリカ系の住人の姿を多く見かける。
地理の関係上、スーダンなどに近いという部分もあるけど、やはりここはメッカに近いということが関係している。
巡礼に来たアフリカ系の人たちがジェッダにそのまま住み着いたというのが発端だそうだ。
それは1940年以前のことから、かなり昔からである。旧市街外の南「Nakatu」というエリアに住んでいたとのこと。
なのでサウジアラビアの民族衣装とは姿が違うのが見分けるポイントかな。
体格的にスーダンなどの東アフリカに限らず、ナイジェリアなどの西アフリカというのも特徴がある。
売られているものは野菜や果物。女性も歩いている。
両脇にある店は肉屋などが。魚屋さんは見なかったな。他には靴屋さんとか雑貨系
というか旧市街の北西にフィッシュマーケットがあるので要らないのか。
中東とアフリカが入り交じった空気。あまり中東諸国でアフリカ系が入り込んでいる場所は多くはない。なので貴重な景色だし、何よりこの賑やかさが素敵だ。絶対好きな人はいると思う。
沢木耕太郎が『深夜特急』で香港の廟街を夢中で歩いていた、という一説を思い出した。まさに僕はジェッダにいる「沢木耕太郎」になっていた。滞在は2日だけだったが、どちらの日も訪れていた。ちなみに金曜夜も開かれるので、毎日やっているのだろう。
とても楽しい夜だった。このジェッタのスークは個人的にヒットしたスークであった。
まとめ
ジェッタのスークを散策した話をした。ここは夜が面白い。
広いわけではなので1-2時間あれば見て回れてしまう。是非夜に出歩いてみてほしい。