パリの治安と対策方法について記します。
1ユーロ=130円
はじめに
「華の都パリ」。メディアなどでよく聞くフレーズだ。これから卒業旅行シーズンになり、フランスに行く人も多いだろう。
だけど、その言葉はパリに着いた瞬間に幻想と化す。パリには2回訪れて、合わせて2週間ほど滞在した。
僕の中では「華やか」というイメージは全くない。「怖い、汚い、空気悪い」の”3K”である。
パリに期待している人も多いだろう、しかし残念ながらパリの治安は悪い。ヨーロッパの中でもワースト10に入るほど。毎年、いや毎日どこかしらで日本人が被害に遭っている。
安心してほしいのは、死ぬような犯罪に巻き込まれることはない。殆どが軽犯罪なのだ。なので、対策を心掛ければ防げる事。
パリに居て一度も危険な目には遭わなかった。運が良かったこともあるだろう。
僕が心がけていた安全対策、そしてパリの治安について記す。
これからパリに行く人たちの参考になれば幸いだ。
パリの治安
パリに滞在中は細心の注意を払ってもらいたい。どんな場所でも犯罪は起こりうる。
一番多いのは「スリ」などの軽犯罪だ、人が殺されるような重犯罪や暴力事件などは少ない。日本人がよく行くような場所では軽犯罪が殆どである。
気をつけるべき場所
・観光地
・RER車内、駅構内
・メトロ車内、駅構内
・美術館、博物館
・ヴェルサイユ宮殿
・蚤の市
・夜のATM
だろう。エッフェル塔や凱旋門、サクレクール寺院などは多い。スリは人が油断している時にやってくる。なので観光地よりかは電車の車内や美術館などで遭うことも。
美術館や博物館は多い。これはEUのユースは入場が無料だから。なのでルーブルは簡単に入れてしまうので、人がゆっくり美術鑑賞している時に魔の手がやってくる。有料施設でも特定の人には無料という施設があるので、チェックしておくといいだろう。
蚤の市は商品に気を取られている時にやられることもある。
RERやメトロは頻繁。メトロ駅構内では日本語の注意アナウンスが流れるし、治安対策のためにクラシック音楽が流れたり。
とはいえ、スリは無くなる気配はない。RERはCDG空港を結ぶ路線。北駅からCDGまでは危ない、その沿線上が治安が宜しくない地域なので、致しかねない部分も。
もしRER B線に乗るならば、CDGまでの急行に乗車しよう。各駅停車はまず狙われるはずだ。北駅の治安もよくないので注意。
スリは単独ではなく、集団パフォーマンスだ。ビックリするほど手際がいい。その手際をもっと他の職業に生かしてほしいぐらい。
①観光客を装うスリ
②少年、少女などの集団スリ
③署名スリ
etc.
たくさんのタイプがいるけど、これが多いのかもしれない。スリは力づくで盗むことはない。被害者が気づかない内に仕事をする。
【①観光客スリ】
観光客を装ったスリだ。これは被害者を警戒させないため。どこの地域でも多発している。
手口としては、
・「すいません、写真撮ってくれない」とカメラを渡して写真を撮っている時に、荷物やポケットから物を盗む。
・ガイドブックや荷物などわざと目の前で落として、被害者が拾って渡して話している隙に盗む。
・「英語話せる?ここどこかわかる?」と道を聞くフリして、その話している隙に盗む
etc.
観光客を装うので、世代は様々。若い人から中年、老人までいたりする。相手が観光客ということで被害者は警戒を許す、その隙を狙うのだ。タチが悪い。
まず観光客が観光客に道を聞いたりしない。写真は一人や2人など少人数の時に起きたりする。向こうは団体技だ。
だからといって、観光客を無視したり、何もしないのも詰らない。そこは見極め肝心だ。
【②少年、少女などの集団スリ】
メトロやRERなどの電車内で多発している。
手口としては、
・被害者がドア付近に立つ⇒降りる時、ゴチャゴチャしている隙を狙う
・人が多い駅で電車を待っている隙を狙う
・わざと混雑している車両に乗って盗む⇒前から被害者をつけているから
・改札で列が詰まっている隙に盗む
etc.
パリはメトロが網の目のように広がっているので、観光客にも使いやすい。
だからこそ起きてしまうことだ。
こういうのは個人もいるけど、ロマ風の少年、少女などグループが多い。ロマはパリにいてもコミュニティに属せない上、学歴がないので仕事にもつけない。だから人から物を盗んで生きていくしかないのだ。
パリメトロは小さいので、車内もすぐに混雑してしまう。それを彼らは有効活用している。ラッシュの時間や観光客が多く乗り降りする路線、駅では特に。
ホームで待っている時、後ろには注意。そして乗る時、降りる時。そのタイミングで盗まれたりする。
なので車内に入ったらドア付近には立たず、席に座ったり中に入ろう。パリメトロは対岸ホームが殆どなので、開くドアとは反対側にいるのもいいかも。
パリの改札は日本の改札のようにスムーズにはいかない。確実に列が詰まる。その隙に盗まれることも。
中には不正乗車している奴が一緒のタイミングで出ようとすることも。この隙にやられる可能性もある。
前にCDG駅で一人の男に「切符ないんだ、一緒に出てもいい?」と言われたことがあったが、”No”と答えた。ハッキリと断ろう。
地下鉄やRERに乗る時&降りる時、周囲には気をつけるべきだ。
【③署名スリ】
観光地に多い。観光客に「今、貧しい子ども~云々~への署名をしているんです。名前だけ書いてもらえませんか?」と英語で話しかけてくる人がいる。
これは間違いなく、署名後に「なので、お金寄付してください」というパターンだ。善意溢れる欧米人がたまに財布を出していて、「あらら」と思っている。
前にバルセロナのサクラダさん前で声をかけられた。見た目は完全にロマ風。
手口は知っていたので、署名すると、「お金」と。そこで「あなた、書くだけでいいと言ったでしょ。だから金はあげない」と返すと向こうは去っていった。
ロマの行動はパターン化だ、賢くはないのでめんどくさいことには首を突っ込まない。
電車の中で紙を置いていく人もそう。あれは手に取らないのがベスト。
赤ちゃん抱いて貧しさアピールする人もいるけどフェイク。裏で仕切ってる奴がいるのでお金あげても、そいつに行くのがオチ。現地に馴染むロマもいるけど、それは一部の話で博識がある人だけ。大抵のロマは自分らのコミュニティで固まる上、民度低い人が集まってワーワーするだけだから、民度が低い人がまた出てきて悪循環。
ロマ問題はヤヤコシイので、ここではこれ以上書かない。
観光地で署名やアンケート求められたら断りましょう。たいていお金が絡む。
◆対策方法
スリに遭わないための対策方法を記す。実は僕は2回スリにあったことがある、エチオピアとインドで。これらで勉強したので、それ以外では全く危ない目には遭っていない。
・ガイドブックは出すな
スリは見た目もそうだが、持ち物も見ている。地球の歩き方やるるぶ、まっぷるなどの有名ガイドブックは彼らも知っている。それを見ていたら確実に「日本人」と分かるので、スリも狙うのだ。
ではどうするか、ガイドブックは普段はカバンの中に閉まっておく。そして路線図や地図は事前にコピーしておこう。
僕は訪問場所の地図はコピーしていく。これは現地で重いガイドブックを持たなくてもいいこと、地図に書き込みができること、そしてすぐに見れるから。
かなり便利だ、ガイドブック見ながらキョロキョロしなくて済むし。観光客には見られるんだけど、スリに狙われるリスクを減らすことはできる。
・スマホは気をつけろ
スマホはよく狙われる。特にiphoneは大人気だ。
理由は「高く売れるから」。iphoneは市場で人気なのでとりわけ売れる。ブラジルでは6,7万円ぐらいで売れるようだ。最近発売したiphone6を持っている人は注意しよう。
街中でスマホを見てキョロキョロしたり、メトロ内でスマホを持って話していたり。そしてスマホをテーブルに置いたり。
スマホをテーブルに置く日本人のクセ、海外ではやめましょう。もしオープンテラスとかでそんなことしたら「どうじ、私のスマホを盗んでください」とアピールしていることになる。
スマホはポケットにいれず、自分のカバンの中に入れておこう。カバンが切られる可能性もあるので、そこも気をつけて。絶対にポケットには入れないでください。
スマホを出すな、とは言わない。だけど最低限にしよう。
・リュックやカバンは前
観光地で写真を撮る時、電車に乗る時など。カバンやリュックを後ろにしていると盗まれます。
たまにチャック全開の日本人がいたりするけど、もう呆れてしまうぐらい。
前にすることでまず切られたり、開けられたりするリスクは減る。それだけでスリをひきつけなくなる。
後ろにしているとナイフで切られて盗られることがあるし、肩にかけるタイプだと空けられたりするし。
もっと防犯するならチャックのところにダイヤル錠をつけておけば安心。開けられる心配がなくなる。手間をかけてでも、そういうのは防止したほうがいい。
僕はショルダーバッグにカメラとスマホ、パスポートを入れてチャックに鍵をかけている。これでオープンにされる心配はなくなる。前にすることで、後ろから狙われるリスクもなくなる。後は守るだけ。前から来る敵を交わせばいいので、すごく楽だ。
ポケットも紙の地図と少量の小銭と札だけなので、ダメージもない。
写真を撮る時はメンドウだけど、何か起きてからでは遅い。
・財布は持つな
これは言いすぎかもしれない。というのも、「財布を持つほど現金を持ち歩くな」ということだ。
財布をスラれることも多い。ポケットに入れる輩がいるから。カードや免許証など失くしたらすごく面倒だろう。現金は返ってこない。
腹巻ベルトも一つの手だろう。スリも腹にお金が入っていることを知っているので、南米などでは力づくで奪う奴もいるけど、パリならまだ対策になるはずだ。
僕は現金を裸で持ち歩いていた。カードも。小さな入れ物みたいなところに、カードとパスポートコピー、国際学生証、お札を入れていた。
そしてポケットにはお札で10ユーロ、小銭で10ユーロぐらい。どこでも財布を出さずに支払うことができるようにするため。
現金を分散しておくことで、もし盗まれた時のリスクを減らすことができる。分散させて持つこと、ポケットに小銭とか入れておくといいだろう。
ちなみにパスポートはコピーを持ち歩いておけばいいと思う。原本はホテルのロッカーやレセプションに預けておくのが安全(たまに盗む人いるけど)。
◆もし被害に遭ったら
どんなに対策をしていても被害に遭うことはある。
被害に遭ったら、
①警察署に行く
②盗難届を書いてもらう
③保険会社、カード会社などに連絡
の流れ。
警察がご親切に盗まれたものを探すことはない、まず盗まれたものは返ってこないと思ってもらいたい。盗まれたら諦めて、すぐに警察に行って盗難届貰って、おいしいもの食べて気を取り直そう。
観光客が多いところでは英語が出来る警察官もいる、「盗まれました」とかの簡単なフランス語をメモっておけば、向こうも「あーまた来たな」という形で作ってくれるだろう。
盗難届を貰うのは、日本に帰ってから海外旅行保険に請求ができるからだ。これがあるとスムーズに事が進む。
現金は帰ってこないけど、財布やスマホなどは「現金」として戻ってくるので、落ち込むことはない。写真データは残念ながら。。。
パスポート盗まれたら大使館に行って指示を仰いでほしい。そのためパスポートコピーを所持しておくと、作り直す際にスムーズにいく。
クレカなど盗まれたら電話すれば、カード止めてもらえるし、再発行してもらえる。
何事も「連絡」が大事だ。すぐに対応すれば被害も最小限に食い止めることができる。
◆安全に旅をするために
スリに遭う奴は遭うし、遭わない奴は遭わない。
はっきり言って運な部分もある、だけど少しでも対策をすればリスクを減らせる。「遭う」前提で行けば、結局遭わなかったでハッピーエンドだ。
近年は日本人よりも、現金を大量に持ち歩く中国人やスマホやカメラを外に出す韓国人などアジア圏の人々の被害も聞く。
昔の日本人のような姿なのだろう、おそらく数年後にはタイ人とかが被害に遭うのかな。
せっかくの海外旅行だ、気を張りすぎるのも疲れてしまう。だからこそ、オンとオフをハッキリ。
ホテルやレストランでご飯を食べている時はオフ、外に居る時はスイッチを入れてやっていこう。
自然と気を張っていたりするので、一日歩くとかなり疲れてしまう。余裕をもった日程にしてほしい。
パリに行く人、楽しんで旅行を終えてほしい。何事もなく笑顔で「ただいま」と言えることを願っている。
また、パリで安全に宿泊するために。オススメは「オペラ地区」とさせていただきたい。
中心部に位置し、治安も良く、日本人が多いエリアとなる。観光地まで歩いて行けるので、メトロに乗らなくても良いし、タクシーの往来も多い。
他のエリアに泊まって嫌な思いをするぐらいなら、少し多めに出して、安全な場所に宿泊するのが良いではないだろうか。
オペラ地区で信頼のおけるホテルを紹介させていただく。
ご旅行の参考になれば幸いだ。2019年の最新版である。
追記 テロ・デモについて(2019年1月)
パリのテロ事件もあったので、追記させてもらいます。
ヨーロッパ全体(特に都市部)ではテロの警戒レベルを高めています。そのためスポーツなど人が集まるイベントではセキュリティも強化されています。
基本的には、普段もそうですが、大きなリュックやスーツケースを会場内に持ち込むことはダメです。大学生がよく背負うリュックはダメです。ペットボトルもダメです。
なので手ぶらで行くことをオススメします。少し高いと思いますが、なるべく会場内でご飯や飲み物を買いましょう。入口のセキュリティによりますが、持ち込みは没収される可能性があるので。あと入場に時間がかかることもあるので、時間には余裕を持って訪れてください。
パリでは空港のセキュリティも強化されているので、2時間前ではなく3時間前には着いているようにしましょう。日本人だから多少は甘めになっているようですけど、それでもヘラヘラして飛行機乗り遅れたらたまったもんではありません。念には念を。
またパリの学校周辺では車を停車させたり、人が集まることが禁止されているので、なるべく学校近辺では立ち止まらないので歩くようにしてください。
テロの危険性はまだあります。人が集まるようなところは避けるといいかもしれません。
今は「黄色いベスト」を着た人のデモ運動がありますが、曜日や時間帯が決まっています。事前に告知がされているので、ホテルのスタッフに聞くのが良いです。
その時間帯は該当の場所には近づかないようにしましょう。それだけでトラブルに遭う可能性もグッと低くなります。
安全なパリ訪問になることを祈っております。
ブログみました。自分もフランス旅行でパリへ行きましたが、世界的な人気観光地、多くの国々からいろんな人が観光に来てましたね、そして大都会 場所によっては「怖い」という所もあったし、確かにスリなど注意したい!そう思いました。
私は注意していたつもりでしたが滞在6日目で気を抜いてしまい、財布を盗まれました。オペラ通りを小走りにモノプリに向かっていて、いつの間にかです。
翌日ホテルの隣の(リヨン駅構内にある)交番に被害届をもらいに行きました。
英語で話すと、フランス語で英語は解らないと言われ、片言のフランス語で話すと、「見たのか?」(スリだから見ていない)「どこで?」「オペラ通り」「ここはリヨンだ」など、面倒くさいらしくなかなか書面を出しません。
6畳くらいの部屋でカウンターに4人のポリスマン。折りたたみ椅子に4の字の形に脚を組み、のけぞるように座っていて2人はスマートフォンで動画を観ていました。
私がなかなか引き下がらない(帰らない)ので仕方なくカウンターの下から紙の束をドンと音を立て出し、日本語バージョンの被害届作依頼書を出して1部差し出しました。
私が記入した DECLARATION DE PLAINETE にサインしてハンコを押すだけ。こんな簡単なことを面倒くさがっていたとは!
びっくりでした。
>シゲさん
コメントありがとうございます。
パリでスリに遭うとは、大変な思いをされましたね。。。
スリって、思いもよらぬところで起きますよね。あと警察も管轄があるので、違うところで起きても対処してくれない場合もあるので、それも役人的な考えで面倒だなと思うところもあります。彼らは彼らの言い分があるかとは思うのですが・・・。
あとは、最近「スリに遭った」とウソ申告をして、被害届をもらって、保険をだましとろうという悪だくみをする輩もいるみたいです。なので、観光客が多く、かつスリがそれなりに多いところでは警察が被害届を出すのを渋ったり、面倒な形にしたりとしているみたいです。
話を見る限り、単純に管轄外だから面倒だと思うように見えるのですが、それにしても旅の良い時間をつぶされたので、良い思いではないですよね。
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RERのとある駅で日本人旅行者が車内で集団スリに遭い
スリの腕を掴んだらそのまま引きずられてホームに出され
ボコボコにされて重傷を負う事案が発生しています。
シャルルドゴール空港へ帰る途中だったそうです。
セーヌ川の北は一般的に治安が悪いという話も聞いています。
>名無し01さん
コメントありがとうございます。
下手に反撃してしまうと、余計に被害が拡大することもありますからね。
なので、何もしないのが良いのですけど、僕もいざその立場にいると同じ行動をしてしまうかもしれません。
セーヌ川の北、というかRER B線沿いとかはあまりよくないですね。