【ナイジェリア】「世界の車窓から」:ラゴスのBRTに乗車する。

ラゴスのBRTをご紹介します。

2016年2月 1ナイラ(N)=約0.56円

ラゴスに訪れた際に是非乗ってみたいものがあった。それが「BRT」(Bus Rapid Transit」だ。
日本では馴染みのない形態だが、新興国では主流な移動手段となっており、コロンビアのボゴタが一番エリアが広い。

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2015年2月21日

ラゴスでも近年導入され、動いているということを聞いたので、どんなものか乗車してみた。

ラゴスのBRT

乗り方/降り方

BRTは決められたルート、そしてバス停にしか停車しない。
乗り方はバス停に行き、方面別に分かれた列に並ぶ。そこでチケット売りにに行先を告げ、料金を支払い、レシートを受け取る。

このレシートを持ってバスに乗車。乗る前にチェックされることもある。料金は距離制。70~120ナイラ(約40~67円)の間となっている。

たいていはバス停に紺のポロシャツを着た係員がいるのだが、たまに居ない時がある。その場合は一旦バスに乗り、次のバス停で支払う。そして乗車する。
なので運転手にその旨を伝えよう。誰もいないところではバスは自分で手をあげて止める。
乗車は前から、降りるのは後ろから。赤い「Stop」ボタンを押す。押さないと後ろが開かない。

BRTの車体

車両は全車エアコン付きの中国「宇通客車」のバス。新興国行けば宇通のバスをよく見かける。エアコン付きなので移動は快適。
>座席数も多いので、混雑していなければ座れる。本数も多い。ラジオを爆音で流すドライバーもいる。

新しい車両なので中は清潔、今のところは。ゴミを捨てるやつが多いので紙とかが散乱していることもある。
それにしてもこんなバス、どうやって手に入れたのだろうか。寄付?ラゴス市が安く購入?中国がナイジェリアのインフラ面を整備しているという記事を見たけど、それ関連でもあるのだろう。

治安

治安は悪くない。良いとまでは言えないけど、ミニバスよりかは安全だなと。もちろんスリには注意してほしいけど、危険に感じることはなかった。
車内で寝ている人もいるし、子どもだけで乗車している。なので警戒しすぎる必要はない。

雑感

ラゴスに2008年に導入されたBRT。ラゴス市民の足となっているようだ。
ミニバスより安全で値段もそこまで高くはない。エアコンも効いており、専用道路を走行するので渋滞に巻き込まれることもない。
そのためバス停には長蛇の列、満員のバスもあるぐらいだ。

ただ問題点を挙げるとするならば「インフラ面」の整備不足であろう。
BRTはどんどん規模を広げようとしているが、専用道路の整備が遅れたりしており、途中一般道を走らなけらばならないところがある。
そこでは運転マナーや交通量の多さから渋滞にはまってしまい、身動きが取れないことがある。勿体ないな、ていう部分だ。

またバス停なのだが、上り(ラゴス島方面)と下り(メインランド方面)でバス停が違ったりする。
どちらもある場合、上りだけの場合、下りだけの場合とあるので、バス停には注意してほしい。
ちなみにラゴス島では上りはTBSまでに2つ停車(LeventisとCMS)するけど、下りはTBSを出たら次はメインランドになる。

世界の車窓から

折角の機会なので、BRTを始点から終点まで乗ってみることにした。
今回乗車したのは、ラゴス島の起点「TBS」からメインランドの「Mile 12」まで。BRTはメインランドに入ると途中で2,3ヶ所へ枝分かれしていくのだが、一番人が多そうなMile 12行きの路線を選択した。
夕方近くのTBSのバス停、Mile 12行きのバスには長蛇の列。これだけ人がいるとは思わなかった。

▼TBSの場所。

列に並んでいると、チケット売りのお兄さんがやってくる。「Mile 12」と行先を告げ、120ナイラ(約67円)を支払う。
距離にして22kmほど。新宿からだと府中ぐらいだ。それで67円というのは安すぎる。
僕の前には子どもが3人で並んでおり、僕に興味津々。色々と話しかけてきてくれた。英語なのだが訛っており、何を言っているのかさっぱり分からない。
聞き取れた単語から意味を推測しながら、会話を進めていく。

というかここで驚いたのだが、子どもだけでBRTに乗車することが多い。学校帰りなどで使われており、「子どもだけでいいんだ」と感心してしまったほどだ。
ラゴスでは街中を歩いていても、小学生ぐらいの子どもが一人で歩いていることが多いので、そういう面ではまだ治安が悪くないのかなって。
なので誘拐とかは少なく、外国人を狙う犯罪が多いのではないかと。もちろんスリや置き引きはいるだろうけど。僕の幻想かもしれないが。

ナイジェリア北部ではボコ・ハラムなどで「少女誘拐」などと一時期騒がしたことがあったが、ラゴスは無縁の話のようだ。
ナイジェリアは北と南で宗教や文化などが全然違い、1つの国なのに、別の国のような差があるとナイジェリア人が言っていたことがある。

この話はさておき、バスは次から次へとやってくるので、列の割にはさほど待つことはなかった。
列には物売りもやってくるので、もし喉が渇いても彼らから水などを購入することが可能である。水は500mlで50ナイラ(約28円)とスーパーで買うのと大差はない。
バスに乗車。一番後ろの席に座る、というか子どもが「一緒に座ろうよ!」と言うので、お言葉に甘えることにした。
バスは全員着席したぐらいで出発。まさかの満員になるまで乗車させないスタイル。これも驚いた。


BRTはTBSを出発すると高架道路に入り、どこにも止まらずにメインランドへと向かっていく。
途中CMSなどを通るのだが、横を見るとビルがいくつも建っており、都会であることを実感させられる。

バスはメインランドへ入るのだが、そこに巨大なスラム街があった。子どもたちは「poor!poor!」と連呼しており、格差社会であることを改めて確認する。
彼らはこのBRTに乗車することも出来ないだろうし、遠くまで行くこともないはずだ。ただでさえ、衛生環境が悪い世界、平均寿命も決して長くはない。
「どういう生活をしているのか・・・」と気になるが、僕が踏み込む場所ではないので、考えを辞めることにした。治安も勿論だが、彼らにとって異邦人が訪問することは迷惑になりうることもある。その考えが出てくるだけで、むやみな訪問は避けないといけない。

さて子どもと話しながらも、バスはどんどん進んでいく。基本的には幹線道路と住宅街を通過していくので「地元の生活」を感じることができる。
バスは途中止まりながら、人を降ろしていく。乗る人より降りる人のほうが多いので、人も減っていく。
子どもたちを見ると寝てしまったようだ。疲れてしまったのだろうか。冷房が効いている中なので心地よさそうである。

途中、再びバラック小屋の巨大集落があった。ここもそうなのだろう。ラゴスにいると格差社会であることを実感する。イスラム教の北部はどういう状況なのか気になった。
途中子どもたちは下車していった。「Good bye!」と挨拶。外を見ると出発するバスに手を振ってくれた。
ナイジェリアのラゴスしか僕は分からないけど、ラゴスの人はフレンドリーで親切だなと実感した。ここまで親し気な人たちとは思わなかったので、拍子抜けしてしまったほどだ。中には賢くだましてくる輩もいるけど、それはそれで。

バスは段々と人が減っていき、終点へと近づいてくる。
Mile 12はバスターミナルになっており終点だと一目で分かる。バスは駐車場の中に入っていき、客を降ろす。
このまま引き返そうかと思ったけど、どんなところか気になったので、Mile12付近を歩くことにした。

ちなみにここの停留所の外では治安を気にして写真を撮っていない。なので文章だけで少し伝える。
Mile12のバスターミナル周辺はマーケットになっており、道路や歩道に出店がたくさん出ている。殆どが青空屋台だ。
売っているものは野菜や果物、日用品まで多岐にわたっている。ちなみにMile12からラゴス市内へ少し行ったところに、巨大な市場があった(Mile12 Market)。

若干雰囲気悪そうだったけど、かなり広そうだったので、もし興味がある人は行ってみてもいいかも。その近くにはアブジャなどへ向かう高速バスのオフィスがあった。
人でゴミゴミしており、ラゴス島のマーケットとは少し違う雰囲気。砂埃が多いのでそこは気を付けてほしいところだ。

▼Mile 12。位置

ちょっと散策したところで、ラゴス市内へと引き返すことにした。
BRTはMile12がターミナルかと思っていたけど、まだ北部へと走っていたので、本当の終点はまた違うところにありそうだった。

バスに乗る前にチケットを購入。宿の近くにある「National Stadium」まで120ナイラ(約67円)。ラゴス島へ行くのと大差はあまりない。
「TBS」と書かれたバスに乗り込む。ここからのバスは10分に1本程度出ているので、そこまで急ぐこともないだろう。客を6割程度乗せた状態で、バスは再び出発する。
途中ウトウトしながら、バスはほぼノンストップで「Iponri」のバス停に到着した。バスは僕だけを降ろすと、ラゴス島へ走っていた。

まとめ

ラゴスのBRTについて紹介した。
感想としては思ったよりも発展したということ、地元の人に使われているということであった。
冷房も効いて、専用道路を走り、値段も安く、治安も悪くない。立派な公共交通機関であろう。ただインフラ面では遅れている部分があるので、そこは立て直しを図らないといけないはずだ。
乗車の仕方も簡単なので、もしラゴスで時間があるならば一度体験乗車してみてはどうだろうか。ラゴス市民の生活の一部を垣間見ることができる。

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